2026年6月17日 (水)
医学トリビア研究所Medical Trivia Lab
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健康・生活習慣

睡眠は「長さ」より「規則正しさ」、いちばん規則正しい人は死亡リスクが最大48%低かった

何時間眠るかより、毎日同じ時間に寝起きすることのほうが死亡リスクをよく予測した。UK Biobank約6万人の加速度計データが示す、睡眠の意外な健康指標とは。

睡眠は「長さ」より「規則正しさ」、いちばん規則正しい人は死亡リスクが最大48%低かった
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何時間眠るかより、毎日同じ時間に寝起きすることのほうが死亡リスクをよく予測した。UK Biobank約6万人の加速度計データが示す、睡眠の意外な健康指標とは。

「健康のために、毎日きちんと7時間寝なさい」——睡眠の話になると、いつも話題は「長さ」です。短すぎても長すぎても体に悪い、というのは多くの人が聞いたことのある常識でしょう。

ところが、その常識を少し揺さぶる研究が報告されました。注目されたのは睡眠の「長さ」ではなく、毎日どれだけ同じ時間に寝起きしているかという「規則正しさ」。そして驚くことに、規則正しさのほうが、長さよりも死亡リスクをうまく予測したというのです。

なぜ「規則正しさ」が大事なのか?

ヒントは、私たちの体に備わった「体内時計」にあります。脳や臓器の細胞は、約24時間のリズムを刻みながら、ホルモン分泌・体温・血圧・代謝のタイミングを調整しています。

このリズムは、毎日ほぼ同じ時間に眠り、同じ時間に光を浴びることで整えられます。逆に、寝る時間が日によってバラバラだと、体内時計は「いつが夜なのか」を見失い、体のあちこちでタイミングのズレが起きると考えられています。研究者たちは、こうした体内時計の乱れが、長い目で見て病気や死亡リスクにつながるのではないかと見ています。

何がわかったか

研究では、寝起きのリズムの一定さを「睡眠規則性指数(SRI)」という0〜100のスコアで表し、参加者を規則正しさで5つの層に分けました。最も規則正しい上位4層を、最も不規則な層(下位1層)と比べた結果がこちらです。

  • 規則正しい層は、最も不規則な層より総死亡リスクが20〜48%低かった
  • がんによる死亡は16〜39%低かった
  • 心臓・代謝系の病気による死亡は22〜57%低かった
  • そして、規則正しさは睡眠の「長さ」よりも総死亡をよく予測した

つまり「何時間眠ったか」よりも「毎日同じ時間に寝起きしていたか」のほうが、その後の生死を映す鏡になっていた、ということです。

どう調べたか

この研究の強みは、データの取り方にあります。対象は、英国の大規模医療データベース「UK Biobank」に参加した60,977人(平均約63歳)。

注目すべきは、睡眠時間を本人の申告に頼らなかった点です。参加者は手首に加速度計(動きを記録するセンサー)を装着し、研究チームは1000万時間を超える実際の活動データから寝起きのリズムを算出しました。「だいたい11時に寝ています」という記憶や思い込みではなく、機械が捉えた客観的な動きをもとにしているため、信頼性が高いのです。その後、平均約6.3年にわたって追跡しています。

ただし、冷静に

期待の持てる結果ですが、解釈には注意が必要です。

これは多くの人を追って関連を調べた「観察研究」であり、「規則正しく眠れば長生きする」という因果関係まで証明したわけではありません

もう一つ見落とせないのが、順番の問題です。もともと健康な人ほど、生活が安定していて規則正しく眠れる傾向があります。つまり「規則正しいから健康」なのか「健康だから規則正しく眠れる」のか、この研究だけでは切り分けきれません。すでに病気を抱えていたり、痛みや不調があったりすれば、睡眠は乱れやすくなるからです。

それでも、実践しやすいのは

とはいえ、この研究が魅力的なのは、示している行動がとてもシンプルだという点です。

「毎日7時間きっちり眠る」のは、仕事や育児の都合でなかなか難しいもの。一方「できるだけ同じ時間に寝て、同じ時間に起きる」なら、休日の寝坊を少し控えるだけでも近づけます。睡眠時間を無理に増やすより、ハードルは低いかもしれません。

完璧をめざす必要はありません。まずは寝る時刻と起きる時刻のブレを、いつもより少しだけそろえてみる。それが体内時計をいたわる、はじめの一歩になりそうです。


出典: Windred DP, et al. Sleep regularity is a stronger predictor of mortality risk than sleep duration: A prospective cohort study. *Sleep*. 2023(2024年掲載). DOI: 10.1093/sleep/zsad253(情報はPubMedより取得)

※本記事は研究の紹介であり、医療助言ではありません。睡眠や健康についての判断は、医師など専門家にご相談ください。

SOURCE / 出典・論文情報
Windred et al, Sleep 2023 / DOI: 10.1093/sleep/zsad253
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