牛乳の飲みすぎは、体に悪い?
スウェーデンの10.7万人を追った観察研究。女性で1日3杯以上の牛乳は1杯未満より全死亡リスクが約1.9倍。骨折はむしろ減らなかった。ただし観察研究で因果ではない。
「骨にいい」イメージを、ゆさぶる研究
牛乳は骨を強くし、健康にいい――そう信じている人は多いはず。ところが、その常識に「待った」をかける研究がスウェーデンから報告され、大きな話題になりました。
牛乳をたくさん飲む女性ほど、死亡リスクや骨折がむしろ高めだったというのです。
何がわかったのか
スウェーデンの男女10万7千人を長期間追った観察研究の主な結果です。
- 女性で1日3杯以上飲む人は、1杯未満の人に比べ全死亡リスクが約1.93倍
- 牛乳1杯あたり、死亡リスクは女性で約+15%、男性で約+3%
- 「骨を守る」はずが、骨折はむしろ減らず、股関節骨折はやや増加傾向
期待されていた「牛乳をたくさん飲めば骨折が減る」という結果にはならず、むしろ逆の傾向が出たことが、この研究のインパクトでした。
なぜ、そうなるのか(仮説)
研究者が注目したのは、牛乳に含まれる糖の一種「ガラクトース」です。動物実験では、ガラクトースが酸化ストレスや炎症を高め、老化を早める可能性が示唆されています。牛乳を多く飲むほどガラクトースの摂取が増え、それが体に負担をかけているのではないか――というのが一つの仮説です。
一方で、ガラクトースの少ないヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品では、逆にリスクが低い傾向もみられました。同じ「乳製品」でも、形によって体への影響が違うのかもしれません。
ただし、冷静に受け止めたい
ここがとても重要です。これは観察研究であり、「牛乳が寿命を縮める」という因果関係を証明したものではありません。著者自身も論文で「結果は慎重に解釈すべき」と明記しています。
たとえば、体調が悪い人や骨が弱い人ほど、意識して牛乳を多く飲むという逆向きの関係(逆の因果)や、測りきれない生活習慣の影響(残余交絡)が結果を歪めている可能性があります。
ですから「牛乳は危険、やめるべき」と早合点するのは禁物。極端に大量に飲み続けるのは見直す価値があるかも、くらいの受け止めが妥当です。バランスよく、ほどほどに——が結局のところ無難です。
*出典:Michaëlsson et al, "Milk intake and risk of mortality and fractures in women and men: cohort studies." BMJ, 2014.*
*本記事は研究の紹介であり、医療アドバイスではありません。健康上の判断は専門家にご相談ください。*