ユーモアのある人は、長生きする?
ノルウェーの6.6万人を約7年追跡。ユーモアのセンスが高い人は死亡リスクが低い傾向(HR約0.5)。ただし効果が見えたのは65歳未満で、観察研究のため因果ではない。
「笑う門には福来たる」を、本気で調べた
ユーモアのセンスがある人は、人生を楽しんでいそうなイメージがあります。では、それは「長生き」にもつながるのか――ノルウェーの大規模な健康調査が、この問いに数字で答えました。
結果は、ことわざを後押しするもの。ユーモアのセンスが高い人ほど、死亡リスクが低い傾向が見られたのです。ただし、ちょっとした“但し書き”もありました。
何がわかったのか
ノルウェーの大規模健康調査(HUNT-2)の参加者6万6,140人を、約7年間追跡しました。質問票でユーモアのセンスを測り、その後の死亡との関係を分析しています。
- ユーモアのセンスが高い群は、低い群より死亡リスクが低い(ハザード比およそ0.5)
- この関係は、本人が感じる健康状態(主観的健康度)とは独立していた
- ただし、効果が見えたのは65歳未満。65歳を超えると関連は不明瞭になった
つまり「ユーモアがある人ほど長生き」は中年期まではくっきり、高齢になるとぼやける、という結果でした。
なぜユーモアが寿命に関係するの?
考えられる仕組みはいくつかあります。ユーモアのある人はストレスを上手に受け流せる、人とのつながりが豊か、困難な状況でも前向きに対処できる――こうした「ストレスへの強さ」や「social support(周囲の支え)」が、心身の健康に効いている可能性があります。
高齢になると効果が見えにくくなるのは、年を重ねるほど病気など他の要因の影響が大きくなり、ユーモアの“貯金”だけでは差が出にくくなるためかもしれません。
ただし、冷静に受け止めたい
これは観察研究であり、「ユーモアが寿命を延ばす」という因果関係までは示せません。ユーモアのセンスは自己申告で測ったものですし、「もともと健康だから心に余裕があり、ユーモアも保てる」という逆向きの関係も否定できません。
それでも、笑いやユーモアが心と体にプラスに働きうる、という方向性は多くの研究と一致します。難しく考えず、日常にクスッと笑える時間を増やす——それ自体が、悪くない健康習慣なのかもしれません。
*出典:Svebak, Romundstad & Holmen, "A 7-year prospective study of sense of humor and mortality in an adult county population: the HUNT-2 study." International Journal of Psychiatry in Medicine, 2010.*
*本記事は研究の紹介であり、医療アドバイスではありません。健康上の判断は専門家にご相談ください。*