夫婦ゲンカが多いと、傷の治りが遅い?
夫婦42組の実験。最も敵対的な夫婦は、穏やかな夫婦の60%の速さ(約4割遅い)でしか皮膚の傷が治らず、炎症性物質の出方も違った。
心のストレスが、肌の修復にまで
人間関係のストレスは心をすり減らします。では、体の「傷の治り」にまで影響するのでしょうか。それを実験で確かめた、ちょっと驚きの研究があります。
何がわかったのか
夫婦42組を2回入院させ、皮膚に小さな傷をつけて治り方を比べる実験(クロスオーバー)です。1回は穏やかな会話、もう1回は意見の対立する会話をしてもらいました。
- 最も敵対的な夫婦は、穏やかな夫婦の60%の速さ(=約4割遅い)でしか傷が治らなかった
- 炎症に関わる物質(サイトカイン)の出方も、対立的な夫婦で異なっていた
つまり、夫婦間の対立というストレスが、体の修復スピードを実際に落としていたのです。
なぜそうなるのか
人間関係のストレスは、ストレスホルモンや免疫・炎症のバランスを乱します。傷の修復には適切な炎症と免疫の働きが必要なので、その調子が崩れると治りが遅くなる、と考えられます。「病は気から」を、肌のレベルで裏づけたような結果です。
ただし、冷静に受け止めたい
42組と少人数で、人工的に作った小さな水疱の傷を使った実験です。現実の大きなケガや、長期的な健康への影響は別途検証が必要です。とはいえ、人間関係のストレスが体の回復力にまで及ぶという発見は重要。穏やかな関係は、心だけでなく体のためでもあるのかもしれません。
*出典:Kiecolt-Glaser et al, Arch Gen Psychiatry, 2005. 本記事は研究の紹介であり、医療アドバイスではありません。*
SOURCE / 出典・論文情報
Kiecolt-Glaser et al, Arch Gen Psychiatry 2005 / DOI: 10.1001/archpsyc.62.12.1377