シワ取りボトックスで、うつが軽くなる?
眉間にボトックスを1回注射した二重盲検RCT(30人)。6週間後、うつ評価が本物で47%改善し、偽注射(9%)の約5倍だった。小規模なので確認が必要。
美容の注射が、心にも効く?
眉間のシワを取るために使われるボトックス。その注射が、実はうつの症状を軽くするかもしれない――そんな研究があります。
何がわかったのか
うつの患者30人を対象に、眉間にボトックスか偽の食塩水を1回注射した二重盲検ランダム化比較試験(RCT)です。
- 6週間後、うつ評価(HAM-D)がボトックス群で47%改善
- 偽注射群は9%改善=本物は約5倍
注射1回で、これだけの差が出たのは印象的な結果でした。
なぜシワ取りで気分が変わるの?
カギは「表情と感情のつながり」です。私たちは悲しいから顔をしかめるだけでなく、顔をしかめるから悲しくなる側面もある、という考え方(顔面フィードバック仮説)。眉間の筋肉が動かなくなると、ネガティブな表情が作りにくくなり、その信号が脳に届かず、気分が沈みにくくなるのでは――というわけです。
ただし、冷静に受け止めたい
30人と小規模で、盲検が難しいのが弱点です。眉間が動かなくなると本人が「本物を打たれた」と気づきやすく、それが評価を甘くした可能性があります。うつの標準治療を置き換えるものではなく、大規模試験での確認が必要です。
*出典:Wollmer et al, J Psychiatr Res, 2012. 本記事は研究の紹介であり、医療アドバイスではありません。*
SOURCE / 出典・論文情報
Wollmer et al, J Psychiatr Res 2012 / DOI: 10.1016/j.jpsychires.2012.01.027